東京地方裁判所 平成5年(行ウ)34号 判決 1994年2月01日
東京都目黒区上目黒三丁目三七番一九-二〇一号
原告
坂口豊幸
右訴訟代理人弁護士
多賀健次郎
同
鳥飼重和
同
舟木亮一
東京都目黒区東山三丁目二四番一三号
被告
目黒税務署長 中村直記
右指定代理人
加藤美枝子
同
佐藤謙一
同
石津佶延
同
長谷川貢一
同
内野茂
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告が平成二年七月三一日付けでした原告の平成元年分の所得税の再更正のうち、分離長期譲渡所得の金額一二三五万九七七八円、納付すべき税額二三〇万五三〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定をいずれも取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第二当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、昭和二三年六月一四日、訴外坂口志満子(以下「志満子」と表記する)と婚姻し、昭和二四年五月一八日には志満子との間に長男をもうけたが、志満子の申立てにかかる東京家庭裁判所の調停手続(同庁昭和六三年家イ六一四二号婚姻費用分担事件)により、平成元年三月二〇日、志満子と調停離婚したものであり、同年四月二八にはその離婚の届出が行われている。
2 原告は、法定の申告期限までに、別表1のとおり平成元年分の所得税の確定申告をしたところ、被告は、平成二年四月二七日付けで原告に対し、別表2のとおりの更正を行い、さらに同年七月三一日付けで原告に対し、別表3のとおりの再更正(以下「本件再更正」という)及び過少申告加算税賦課決定(以下「本件決定」という)を行った。
原告は、本件再更正及び本件決定を不服として平成二年八月二〇日被告に異議申立てをしたが、これが棄却されたので、同年一二月一四日国税不服審判所長に審査請求をしたが、これも棄却されたものである。
3 本件再更正及び本件決定は、いずれも、不動産の分離長期譲渡所得の過大な認定を前提とする違法なものであるから、その取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
請求原因1及び2の事実は認めるが、同3は争う。
三 抗弁
1 分離課税の長期譲渡所得の金額
(一) 原因は、昭和四五年一二月一日、田中君江から別紙物件目録記載一の土地を買い受けてその所有権を取得し、右土地について同五四年三月一五日、原告を所有者とする所有権移転登記がされ、同四六年四月二七日、田中君江から同目録記載二の土地を買い受けてその所有権を取得し、同年四月二八日、原告を所有者とする所有権移転登記がされた(以下、右二筆の土地を「本件土地」という)。
原告は、同五四年一月二〇日、本件土地上に請負人をして別紙物件目録記載三の建物(以下「本件建物」という。また、本件土地と本件建物とをあわせて「本件不動産」という)を新築させ、その所有権を取得し、右建物について同年二月一日、原告を所有者とする所有権保存登記がされた。
(二) 原告と志満子は、平成元年三月二〇日に成立した東京家庭裁判所における調停において、「相手方(原告)は申立人(志満子)に対し、本件離婚に伴う財産分与として、相手方所有に係る別紙物件目録記載の土地及び建物(本件不動産)を本日譲渡する」との財産分与の合意(以下「本件財産分与」という)をしたものである(右の調停条項第二項)。すなわち、原告は、本件財産分与によって、本件不動産の所有権の全部を志満子に譲渡したものである。
(三) 本件不動産の本件財産分与のされた時点における価格は一〇億〇一一四万六四八〇円であり、その取得価格は一六四二万六九二四円であるから、その取得時点から本件財産分与時点までの資産価値の増加分(以下「本件差益」という)は八四七一万九五五六円であった。
(四) 原告は、平成元年一月一日時点で一〇年を超えて本件不動産を所有していたものであるところ、不動産の財産分与は譲渡所得を発生させるものであり、かつ、原告単独所有の本件不動産が全部志満子に譲渡されたから、本件差益の全額が平成元年中に原告に生じた分離長期譲渡所得となる(租税特別措置法三一条及び三二条)。
本件財産分与については、居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定(同法三五条)の適用があるから、本件差益から三〇〇〇万円の控除を行った五四七一万九五五六円が課税対象となる分離長期譲渡所得の金額であり、これに対する所得税額は一一六七万九七五〇円となる。
2 分離長期譲渡所得以外の取得金額
原告は、平成元年中に、給与所得及び雑所得として合計七五六万一七五五円の所得を得ており、これから基礎控除(三五万円)、配偶者控除(三五万円)、社会保険料控除(一九万四五六〇円)、生命保険料控除(5万円)及び損害保険料控除(三〇〇〇円)を行った課税所得金額は六六一万四〇〇〇円となるから、これに対する所得税額は一〇八万四二〇〇円となる。
3 原告が納付すべき所得税の額
原告については平成元年中に一二五万〇六二四円の額の所得税の源泉徴収が行われているから、右1の分離長期譲渡所得にかかる税額と右2の給与所得及び雑所得にかかる税額の合計額から右源泉徴収額を差し引いた納付すべき税額は一一五一万三三〇〇円となる。
したがって、本件再更正は適法である。
4 過少申告加算税の額
次の(一)及び(二)の合計額一二二万五五〇〇円が原告に賦課される過少申告加算税額となる。
(一) 本件再更正により差引き納付すべき税額九二〇万八〇〇〇円(本件再更正の税額から平成二年四月二七日更正に係る税額二三〇万五三〇〇円を控除した金額)から国税通則法一一八条三項により一万円未満の端数を切り捨てた九二〇万円に同法六五条一項所定の一〇〇分の一〇を乗じた九二万円
(二) 本件再更正により差引き納付すべき税額九二〇万八〇〇〇円に累積増差税額二三万一四〇〇円(平成二年四月二七日更正にかかる税額二三〇万五三〇〇円から申告税額二〇七万三九〇〇円を控除した金額を加えた九四三万九四〇〇円から期限内申告税額に相当する金額三三二万四五二四円(源泉徴収税額一二五万〇六二四円及び申告税額二〇七万三九〇〇円の合計額)を控除した六一一万円(一万円未満の端数は切捨て)に同法六五条二項所定の一〇〇分の五を乗じた三〇万五五〇〇円
四 抗弁に対する認否
1(一) 抗弁1(一)の事実のうち、本件不動産につき被告主張のような登記が行われたことは認めるが、その余の事実は否認する。本件不動産は、後記のような事情により、原告と志満子の共有財産として取得されたのであり、原告が単独で所有する財産ではない。
(二) 同1(二)にのような合意があった事実は認める。ただし、この合意によって本件不動産の所有権全部の移転が行われたものでないことは後記のとおりである。
(三) 同1(三)の事実は認める。
(四) 同1(四)の事実は否認する。
2 同2の事実及び税額計算は認める。
3 同3及び4の主張は争う。
五 原告の主張
1 本件不動産の権利関係
(一) 志満子は、昭和二三年六月に原告と婚姻した際、実家から渡された持参金一〇万円を所持しており、その後も、長男の出産その他の機会に実家から生活費や日用品等の生活物資を貰い受け、会社勤めで給料収入が月額一万円程度であった原告との婚姻生活を経済面でかなりの程度支えていた。
原告は、昭和二六年、期間を二〇年として本件土地を賃借し、その地上に木造瓦葺平屋建で床面積五三・七一平方メートルの自宅(以下「旧建物」という)を新築したが、志満子は、右土地賃借のための権利金六万円を手持ちの生活費から捻出したほか、実家から新築家屋二軒分の建築資材を貰い受け、そのうち一軒分を旧建物に現実に使用し、その余の一軒分を旧建物の建築請負代金の代物弁済に供したものである。
(二) 志満子は、実家から贈与された持参金、建築資材、生活費や生活物資により婚姻生活を経済的に支えていたという事情があったことから、本件土地の借地権及び旧建物の所有権が志満子自身に帰属するとの認識を有していた。
(三) 原告は、昭和四六年、借地期間が満了することから地主の申出を受けて本件土地の底地権を代金三〇〇万円で買い受けた際、勤務先の会社からその代金相当の金員を借り入れ、昭和五二年四月二八日までにその借入金を完済した。また、原告は、昭和五四年、工事代金一六〇〇万円で旧建物を改築した(新築したのではない)際。その工事代金相当額を金融機関から借り入れ、昭和六二年五月二〇日までにその借入金を完済した。
(四) 右の各借入金の弁済は原告の給与や退職金によって行われたものであるが、志満子は、日常仕事に忙殺された原告と四〇年以上の間夫婦生活を継続して、原告の勤務先からの給与や退職金だけで家計を切り回し、右借入金の弁済を通じて行う資産形成に多大の貢献をした。
(五) 右のように、本件不動産は、本件土地借地権及び旧建物に代わるものとして取得されており、かつ、その取得のための借入金の弁済も志満子の協力を得て行われることとなっていたのであるから、その登記名義にかかわらず、原告と志満子が二分の一ずつの持分で共有する財産として取得されたものである。
2 本件財産分与の効力
右のとおり、本件不動産は共有であったから、本件財産分与による所有権の移転は、本件不動産のうちの原告の共用持分二分の一についてだけ行われたものである。本件不動産のうち志満子の共有持分二分の一については、離婚に際して真正な志満子の登記名義に回復するために、本件不動産全部につき原告から志満子への財産分与という表現形態の法律行為が用いられたに過ぎないのであり、志満子の共有持分に関する限り、本件財産分与は権利移転の効力を有しない。本件不動産の所有権の全部が志満子へ分与されるとの調停条項は、当事者の錯誤に基づくもので無効である。したがって、志満子の共用持分について財産分与をする旨の調停条項は譲渡所得が発生する財産の譲渡に該当せず、本件不動産について生じた本件差益のうち原告の共有持分二分の一に相当する四二三五万九七七八円のみが、原告に生じた譲渡所得となる。この譲渡所得に租税特別措置法三五条一項所定の三〇〇〇万円の特別控除を差し引いた一二三五万九七七八円が課税対象となる分離長期譲渡所得の金額である。
3 実質所得者課税の原則
仮に、本件不動産が原告と志満子との共有ではなく原告の単独所有に属していたとしても、志満子の本件土地借地権及び旧建物の取得に際しての経済的な貢献度及び本件不動産の資産形成が行われた婚姻生活における貢献度に照らせば、志満子は、原告と長年婚姻生活を継続した妻として、本件不動産につき実質的には二分の一の持分を有していたというべきである。このことは、不動産の財産分与による譲渡所得に対する課税においても考慮されるべきであり、これを考慮せずに譲渡所得の全部が原告に帰属するという前提で行われた本件再更正は、実質所得者課税の原則(所得税法一二条)に反するものとして違法である。
第三証拠
本件記録中の書証目録及び証人等目録に記載のとおりであるから、これらの記載を引用する。
理由
第一本件再更正の適法性について
一 請求原因1及び2の事実は当事者間に争いがなく、本件不動産につき被告主張のような登記が行われた事実、原告と志満子が平成元年三月二〇日東京家庭裁判所において本件財産分与の合意をした事実並びに本件差益の発生及び数額についても当事者間に争いがない。本件の争点は、本件差益の全部が原告に帰属する分離長期譲渡所得となるかどうかという点であるから、その点を判断する前提として、本件不動産が原告の単独所有に属したのか、原告と志満子との二分の一ずつの持分割合での共有に属していたのかという点について検討する。
二 右の争いのない事実に、いずれも成立に争いのない乙第一号証の一ないし四、第九、第一〇号証、第一一号証の一及び二、証人坂口志満子の証言並びに原告本人尋問の結果(後記採用しない部分を除く)を総合すれば、以下の事実が認められる。
1 原告は、復員後の昭和二一年八月、鋼材の生産加工会社である車輪工業株式会社(その後、合併によりトピー工業株式会社となる)に入社し、昭和五二年四月に一旦五五才で定年退職したが、その後も同社の管理職等として稼働し、平成四年三月以降、同社の関連会社の代表取締役を務めている。
2 原告は、昭和二三年六月、見合いによって志満子と婚姻し、婚姻当初は同社の寮で暮らしていたが、昭和二六年、自らが賃借人となって本件土地を賃借しその地上に旧建物を建築した。原告は、右借地の際、知人の坂勘造から、権利金として地主に支払う六万円を借り入れ、月々のボーナスによりその借入金を約三年間で完済した。また、原告は、自らが注文者となって旧建物の建築を業者に請け負わせ、昭和二六年五月二四日には新築された旧建物の保存登記を経由し、昭和二七年一二月二九日までに、その請負代金三三万円余りを何度かに分割して支払った。原告は、昭和二六年六月、右請負代金を工面するため、旧建物に抵当権を設定して住宅金融公庫から二六万円を借り入れたものであるが、給与やボーナスから分割弁済することにより、昭和四一年一月二八日までにその借入金を完済した。なお、志満子の父親は、旧建物の建築資金の援助はしなかったが、三重県に在住して山林を所有していたことから、旧建物の建築に必要な柱等の木材を援助することにし、その山林から木材を切り出し、旧建物の図面に従ってこれを製材業者に加工させたうえ、原告宛に輸送したものである。
3 原告は、本件土地の二〇年の借地期間が満了したため、自らが買主となって、田中君江から本件土地(底地権)を三〇〇万円で買受け、その所有権移転登記を経由した。原告は、右三〇〇万円を勤務先の会社から借り入れ、これを月々給与から弁済するとともに昭和五二年四月に定年退職に伴い支給された退職金により完済した。
原告は、昭和五三年九月に旧建物を取り毀し、昭和五四年一月二〇日に本件建物が新築し、その所有権保存登記を経由したが、その建築代金約一六〇〇万円を安田信託銀行から借り入れ、この借入金も昭和六二年五月までに給与等で完済した。
4 なお、志満子は、婚姻の全期間を通じて専業主婦であってその固有の収入を持たず、原告の収入により家計を維持し長男を育てたものである。
三 以上の事実が認められるところ、原告は、その本人尋問において、志満子と結婚した際、同女の父親から持参金一〇万円くらいが預け入れられた預金通帳を受領したが、その使途は知らないと供述する。しかしながら、原告はその当時の給与の月額は一〇〇〇円程度であったと述べており、乙第九号証によれば、その当時の郵便貯金の預入限度額は三万円であることが認められるから、原告が、そのような多額の持参金の使途を全く知らないというのは不自然である。これに加え、志満子の、実家がそのように多額の持参金を娘に持たせることができる程度裕福であったかどうかについての原告本人の供述は、証人坂口志満子の実家は田舎で金銭的にはさほどの余裕はなく、原告の結納も二〇〇〇円程度であって、そのような多額の持参金を用意したことはあり得ないとの趣旨の具体的な証言に照らして到底採用できないものである。
また、原告本人尋問の結果中には、旧建物新築の際、志満子が父親から建築資材二軒分を貰い受け、そのうち一軒分を建築業者に請負代金の一部として代物弁済に供したとの供述部分があるが、この点は、証人坂口志満子の証言と矛盾するうえ、志満子の父親が、代金として代物弁済できるように建築資材(材木)を用意できたのであれば、これを予め換金して金銭の送金を行うのが通常であって、代物弁済のためわざわざ三重県から東京都まで材木を輸送するということは考えられないから、原告の右供述も疑わしいというべきである。
したがって、志満子が本件土地の借地権や旧建物の取得について経済的に相当程度の貢献をし、同女がこれら財産を所有する意思を有していたとの原告主張の事実関係を認定することはできないから、志満子の経済的な貢献を前提として本件不動産が原告と志満子の共有財産であるとする原告の主張も根拠がないことになる。
四 右認定事実によれば、本件不動産は、原告固有の収入により、原告の名義で取得された原告の特有財産であって、その所有権は原告に帰属する。
もっとも、志満子は、長年にわたり原告と婚姻生活を継続し、原告の給与収入によって家計を切り回し、原告の資産形成に貢献したから、離婚に伴う財産分与により、それまでに形成した資産を清算する際には、右の貢献が評価されるべきではある。しかし、財産の所有権や共有持分は法律行為によって取得・移転するものとしたうえで、共有状態を解消する共有物分割の手続とは全く別個の制度として財産分与を規定しており、このような法の趣旨に照らせば、夫名義の資産形成に対する妻の貢献は、あくまでも具体的な財産分与が行われた後に特定の財産に対する所有権又は共有持分として顕在化するに過ぎず、財産分与以前の段階において既に妻の貢献の度合いに応じて夫名義の特定財産に対する共有持分が発生しているとすることは到底できないところである。したがって、志満子が専業主婦として家計の維持に貢献したことを根拠として、原告との婚姻継続中に形成された資産である本件不動産につき、同女には二分の一の共有持分があったとすることはできない。
原告は、本件調停条項について錯誤があったと主張するが、右に認定したところに照らせば、財産分与の対象財産の帰属について当事者間に錯誤があったとは認められない。
五 財産の譲渡所得に対する課税は、譲渡を契機として、当該財産の取得時から譲渡時までに増加した価値(値上り益)の存在に担税力を認めて行われる課税であって、譲渡行為そのものに対する課税ではないから、無償譲渡が行われた場合にも譲渡所得に対する課税は行われる。したがって、財産の譲渡所得が帰属する者は、当該財産の取得時から譲渡時までその交換価値を支配していた所有者ということになる。本件においては、本件不動産の所有者は原告以外に存在しないから、本件財産分与によって生じた譲渡所得が帰属する者は原告のみであり、実質所得者課税の原則に照らして原告以外の者に譲渡所得が帰属すると解することはできない。
したがって、本件差益は、その全額が平成元年中に原告に生じた譲渡所得と認められる。この譲渡所得は、租税特別措置法三一条、三二条により分離長期譲渡所得とされ、かつ、居住用財産の譲渡に係るものであって、同法三五条一項所定の三〇〇〇万円の特別控除が認められるから、課税対象となる分離長期譲渡所得の額は五四七一万九〇〇〇円(国税通則法一一八条一項の規定により一〇〇〇円未満の端数は切捨て)となるのであって、これと同額である本件再更正による分離長期譲渡所得の認定は正当である。
六 原告の平成元年中の給与所得及び雑所得の存在とその数額、その所得控除の存在とその数額、源泉徴収税額並びにそれらに対する税額計算は当事者間に争いがない。したがって、給与所得及び雑所得に対する税額と分離長期譲渡所得に対する税額とを合算し、源泉徴収税額(一二五万〇六二四円)を控除して原告が平成元年の所得税として納付すべき税額は、本件再更正のとおり、一一五一万三三〇〇円となるから、本件再更正には原告の所得を過大に認定した違法はない。
第二本件決定の適法性について
原告は期限内申告書を提出して更正を受けたものであるところ、本件決定によって原告に賦課された過少申告加算税の金額は、国税通則法六五条の規定により適法に算出された金額であるから、本件決定は適法である。
第三結論
以上の次第で、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政訴訟法七条及び民事訴訟法八九条の規定を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 中込秀樹 裁判官 橋詰均 裁判官 武田美和子)
(別表1)
<省略>
(別表2)
<省略>
(別表3)
<省略>
(別紙)
物件目録
一 所在 東京都大田区大森北六丁目
地番 一五一番地
地目 宅地
地積 九・九一平方メートル
二 所在 東京都大田区大森北六丁目
地番 一〇五番地
地目 宅地
地積 一六〇・九三平方メートル
一 所在 東京都大田区大森北六丁目一〇五番地四
家屋番号 一〇五番四の二
種類 居宅共同住宅
構造 木造瓦葺二階建
床面積 一階 八三・〇四平方メートル
二階 八二・二一平方メートル
以上